歴史あるデザイン

このデザインは1940年に1000本のみ製造された「ビッグ・パイロット・ウォッチ 52 T. S. C.」がデザインの祖となっています。

当時この「ビッグ・パイロット・ウォッチ 52 T. S. C.」は、軍用観測時計に求められる厳格な要件に合わせてクロノメーター級の精度を出すべく、ムーブメントには懐中時計用のCal.52 T.S.Cを搭載しており、視認性の確保も相まってケースサイズは55㎜、厚さ16.5㎜、重さ183ｇとかなり大振りで、IWCの中でも歴代最大サイズの腕時計となります。
コックピット内の計器類を思わせるような一目で何時とわかるデザインで、視認性の高さは今でもしっかりと引き継がれています。
また、チャプターリング、アラビア数字、プロペラを象った針は、初代モデルと同じくベージュを採用し、独特なレトロな雰囲気も再現されています。

リューズに注目

特徴的な円錐型リューズに誕生秘話があるのはご存知でしょうか。
当時のパイロットは暖房設備もないコックピットで雨風に耐えなければならず、気温の低い上空から身を守るために身に着けていた綿入れされた飛行服や分厚い手袋を着用していました。
時計を操作する際、分厚い手袋を外すことなく操作ができるようにと開発されたのがこの円錐型リューズだったのです。
今でもその名残で同じ形にしているのも、なんだかロマンを感じます。

そして個人的に声を大にして言いたいのは、操作のしやすさは他の時計と比べて本当に段違いということです。
設計上からもなんとなく想像できるかもしれませんが、実際に操作してみると想像を超えてくるかもしれません。
グリップの良さ、手巻きで巻いてみたときの感触、リューズを回す際にケースに指先が当たらずぐるぐる回せたり、リューズをねじ込む際にも素早く操作できたり…など、とにかくストレスフリーなのです。
これは実際に手に取ってご体感していただきたい一つでもあります。

トライアングル・インデックス

12時位置にある正三角形のマークにもIWCの気遣いが込められています。
文字盤の12時位置に目印をつけることで方向を見定めやすく、コックピット内でも瞬時に針の位置や時間を読み取れるようにと生まれたのがこのデザイン。
このトライアングル・インデックスは暗闇でも光り、瞬時に時間を読み取りやすくしています。
ふと見るデザインに理由がしっかりと込められているのはなんだか嬉しくなりますよね。
今ではパイロット・ウォッチのデザインコードの一つになっています。

大きいだけじゃない、高い実用性

時計のサイズは46㎜。やはり名前に“ビッグ”とあるように、存在感のある時計です。
存在感はありながらも、シンプルで落ち着いたカラーリングなので全体的に嫌味がなく、私の好きなポイントの一つです。

大きなサイズなので重いのでは…？と思ってしまいますが、重さは123.7ｇと腕に乗せても気にならない重さです。
その理由は、ケース素材にチタ二ウムを採用しているからです。
チタニウム素材はステンレス素材に比べて、軽くて堅牢性が高いのが特徴なので、このサイズにしてはびっくりするほど軽いです。
また、チタニウム素材独特の色味が何とも言えない風合いを出しています。ヴィンテージ感があって私は好きです。

バックルはIWC独自のDバックルを採用。
ワンアクションで素早く着脱できるようになっており、尾錠と比べ圧倒的にベルトの劣化を遅らせることができ、装着時の落下も防ぐことができます。

ケースの構造もよく考えられています。
日常生活やコックピット内でも常に磁気にさらされる機会は多いですが、ケースの内部に軟鉄製のインナーケースを搭載することで耐磁性高まり、時計の天敵でもある磁気からムーブメントを守る作りになっています。

駆動部を担うIWC自社製キャリバー52110は、ブラックやホワイトのセラミック製パーツや、高い効率性を特徴とするペラトン自動巻き機構を備えたムーブメントです。2つの香箱により、稼働時間は驚きの7日間。
週末にしか使わない方でも毎度時刻合わせする必要がなく、すぐに着用できるのは便利ですよね。また、稼働時間が長くなると精度が安定する時間も長くなるというメリットもあります。
そして3時位置にあるインジケーターが残りの稼働時間を知らせてくれます。このインジケーター、あると非常に重宝する機能です。

いかがでしょうか。
意外とノーマークな方もいたかと思いますが、知れば知るほど男心くすぐる一本かと思います。

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