ぜんまいのほどける力で発電
例えば自転車のライトはタイヤを回す力を利用して発光します。スプリングドライブは同じ原理を利用して電力を発生させており、ローターとコイルが巻かれた「ステータ」が発動機の役割を担っています。ローターが1秒間に8回転することで、わずかな電気エネルギーが発生します。
水晶振動子が正確な信号を発信
わずかな電気を利用して、水晶振動子とICを動かします。
水晶振動子に電力が伝わることで、クオーツと同等の一秒間に32,768Hzという正確な信号をICに発信します。
ローターにブレーキをかけて調速
ICは水晶振動子からの正確な信号とローターの回転速度を比較し、ローターが速くなり過ぎないよう断続的に磁力のブレーキをかけて、一定の速度に保ちます。ローターの回転が一定に保たれることで、ローター、歯車、針の順に制御された動きを伝え、正確な時を刻んでいます。

スプリングドライブは機械式時計の「動力：大きなトルク」に、クオーツ式時計の「制御システム ： IC制御による高い精度」を採用した、ハイブリッド型のムーブメントです。着想から20年以上もの年月を費やして開発され、2004年に誕生しました。

「9Rスプリングドライブ」にはいくつかキャリバーがあり、最もスタンダードなムーブメントとなるのが「キャリバー9R65」です。
人気モデル「SBGA211」通称：雪白、「SBGA443」通称：花筏に搭載されているのも「キャリバー9R65」となっております。

「キャリバー9R65」はグランドセイコー初の9Rスプリングドライブムーブメントでもあるんです。
セイコーでは1999年に9Rスプリングドライブを発表しましたが、当時のムーブメントは駆動時間約48時間と短い為、グランドセイコーでは採用されませんでした。そしてそれから4年かけて駆動時間を約72時間まで伸ばすことに成功し、「キャリバー9R65」が誕生しました。

続いては「キャリバー9R66」
「キャリバー9R65」の完成から2年後の2006年、スプリングドライブに初めてGMT機能を付加した「キャリバー9R66」が誕生しました。

駆動時間は「キャリバー9R65」と同じ約72時間。
スポーツコレクション「SBGE277」や「SBGE295」に搭載されています。