技術革新が目まぐるしく進んだ1950年代。テレビなどの電化製品が急速に普及し始めたことにより、腕時計の磁気帯びが問題となっていました。その対策として開発されたのが、「サイエンティグラフ・コレクション」です。初代モデルは1961年に発表され、当メゾンは他社に先駆けて耐磁時計の開発に力を入れていました。軟鉄製インナーケースを用いた手法で人気を博し、2021年には初代のデザインを活かしつつ、現代的なテイスト・最新技術を用いた復刻版を発表しました。

サイエンティグラフ クロノは、1961 年に発売された有名な耐磁性時計のクロノグラフ バージョンです。「3針」モデル同様、このクロノグラフは、耐磁機能を持つモデルです。デバイスからの電波を遮断し、ムーブメントを保護します。

【ケース】

 ケースはステンレススティール製で、ケース径は41mmとなっております。高い耐磁性能がありながらもケースの厚みがそこまで厚くないため、スーツの袖口などにも収まりやすく、どなたでも着けやすい大きさとなっております。

正面から見える部分は主にポリッシュ仕上げ、側面ポリッシュ仕上げが施され、ケースラグ上面はサテン仕上げになっていて、見る角度によって光沢のちがいも楽しむことができます。

印象的な文字盤デザインとポリッシュ仕上げの太めなベゼルの組み合わせも特徴的です。

どんな角度から見ても美しい丁寧な仕上がりで、流線形のラグからブレスレットへのつながりも非常に滑らかです。

細かいコインエッジ装飾が施された薄型のリューズには、エベラールのブランドロゴである「E」の文字が浮き彫りされております。

【文字盤】

マットブラックの文字盤はドーム状に周辺部の落ち込んだ曲面形状を施したガルべ式文字盤となっております。時分針、クロノグラフ針とそれぞれの針の個性的なフォルムが目を引きます。

12時と6時位置にはアラビア数字を施し、三角形のインデックスも特徴的です。先端が三角形の特徴的な時針 、バトン型の長針 / 先端が三角形のクロノ秒針も個性的ですね。

3時、9時位置の2つのカウンターにアズラージュ仕上げを施しています。

 

ドーム状に周辺部の落ち込んだ曲面形状を施した文字盤に合わせて、クロノ秒針も下に落ちてカーブをつけているので、こだわりの作りこみを感じさせていて、視認性の向上にも繋がったデザインになっています。

立体感のあるインデックスによって、シンプルながら奥行きが感じられる、高級感の漂う文字盤となっております。12時位置にはエベラールのブランドロゴと、筆記体の「automatic」表記、そして6時位置にはインデックスの数字と調和のとれたフォントで、サイエンティグラフ クロノのモデル名が控え目にあしらわれております。ガラスはドーム型サファイアクリスタルガラスを採用しています。反射防止加工が施されておりますので、どの角度からでも文字盤が見やすくなっております。「3針」モデル同様、カレンダー（日付）が付いていないシンプルなデザインのモデルになっています。

 

【ケースバック、ムーブメント】

ステンレススティール製の裏蓋は、防水性の高いねじ込み式を採用しております。裏蓋には時計産業の中心地であるスイスのラショー・ド・フォンのスペシャリストセンターの品質基準に合格した証が、磁気をモチーフにしたユニークなロゴと銘刻文字によって刻印されております。また、外からは見ることは出来ませんが、ケースの内側には腕時計の耐磁性能を示すISO 7642020規格へ準拠していることの証明も記されております。サイエンティグラフの耐磁性能を高めるために行われている一番の工夫は、ムーブメント周りにあります。

 

時計製造の場合のように小さな機械を扱う場合は、単純な原理を実際に適用するのは必ずしも簡単ではありません。 1961年の「サイエンティグラフ」モデルは、この耐磁帯技術を開拓した時計の1つであり、その性能の信頼性のおかげで、当時非常に成功していました。

【ベルト】

ベルトは、ケースと同じステンレススティール製の3連ブレスレットです。中央のコマがサテン仕上げで、両端がポリッシュ仕上げとなっており、角が丁寧に面取りされた丸みのある形状となっております。バックルは特許取得の２クリック式 クラスプで、バックル部分にエベラールのブランドのアイコンが浮き彫りされております。また、外した際に見える金具の内側にも、ブランドロゴが記されております。

【まとめ】

シンプルな日付のついていないクロノグラフですが、細部までこだわった文字盤のデザインは視認性が高くとても実用的であると思いました。また電子機器やマグネット製品が多く使われる現代社会では、磁気の影響を受けることがより多くなっています。また、医療機器や産業機器など、磁気の影響が重大な問題を引き起こす場合がある分野でも、耐磁性能の高いサイエンティグラフのような時計は必要不可欠な存在ではないでしょうか。太めのベゼルはポリッシュ仕上げが丁寧に施されており、ほどよい高級感を演出しビジネスシーンでも活躍してくれそうなモデルだと思いました。クラシカルでシンプルな2カウンター表示のクロノグラフの腕時計をお探しの方におすすめです。

ぜひこの機会に実物をご覧ください。