“月と共に進化する時計の魔法” IWC ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー
皆さま、こんにちは!渡辺です。
さて、本日はIWCから北半球と南半球で観測できる月の姿が鏡像のように映し出される、ダブルムーンフェイズ表示を備えたとても魅力的なモデル「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー 」のご紹介をしようと思います。
ブランド名:IWC
モデル名:ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー
品番:IW503401
ケース径:44.2mm
ケース素材:ホワイトゴールドケース
防水:3気圧防水
価格:6,501,000円(税込)
神秘的なムーンフェイズの魅力
昔の時計の職人さんはその月の光を時計にすべりこませる方法を見つけました。とはいえ、月の動きは彼らに頭を抱えさせたに違いありません。しかしいったいなぜ腕時計に月を?そうしたいから…それに月は潮の満ち欠けだけではなく、私たちの気分や出生にまでも影響を及ぼすという月は魅力的です。
複雑時計の機構の中でも、もっとも「何のためにあるのかわからない」と言われるのがムーンフェイズかもしれません。
小窓から顔をのぞかせる月の姿はエレガントであり、ユニークでもあります。それがためファッション的な意味あいに注目もされます。”ムーンフェイズ”とは月の位相、つまり見かけです。月は29.53059日でワンサイクル、つまり全く見えない新月の日から次第に大きく見えるようになっていき、満月をピークにまた小さくなりはじめ。この日数で元に戻ることになります。
漁業に影響を与える、満潮、干潮などと言われる現象は月の引力によって起きる現象です。地球の中心と月を結んだ線上の海面が月の引力によって吸い寄せられ、盛り上がりが最大となった時が満潮になるわけです。月の位相は、月、太陽、地球の並び方で見え方が変わるものです。つまり月の見え方で、この関係を読み取ることができて、それは大潮、小潮とリンクしているわけです。新月と満月の時が大潮であり、半月の時が小潮です。
ではなぜ、時計にムーンフェイズを表示するのでしょう。夜空をじっくりと観察する方が簡単ではないでしょうか。いいえ、月は気まぐれです。月は曇りや雨の日には見えません。ところが”ムーンフェイズ腕時計”は天気に関係なく、月の位相を教えてくれます。昔においてはまさに実用的な意味がありました。現在の漁師のかたやヨット乗りの方などは、ネットでも情報が手に入る潮汐表を利用するのが通例ですが、それでも腕時計にその機能があるのは便利です。
実用的な意味を除いても、月の満ち欠けは昔の人々にとって神秘的な出来事でした。満月の日の狼男の伝承などその流れでかもしれません。また今でも満月の日には交通事故などが多いという人もいます。海がそうであるのと同様、身体のほとんどが水分である人間に、影響がないはずがないというわけです。科学的な裏付けがあるわけではありませんが、何となく気になる話ですね。今でもムーンフェイズが実用的である文化圏は実はあります。イスラム教圏それで、いまだに宗教行事に限っては太陰暦のイスラム暦を使っているそうです。重要なラマダーン(断食月)などもこの暦によって決定されます。
「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」のムーンフェイズ表示
ダブルムーンフェイズ表示を備えたモデルでは、北半球と南半球で観測できる月の姿が鏡像のように映し出されます。ムーンフェイズ表示全体が星を散りばめた夜空をなし、まるで月と星が遠い宇宙に浮かんでいるように見えます。永久カレンダー、4桁の西暦表示、ペラトン自動巻き機構を搭載した7日間自動巻きムーブメント、パワーリザーブ表示など、このエレガントなタイムピースには望みうるほぼすべての機能が揃っています。
ステンレススティール製ケース、ブルーの文字盤、エッジをアーチ型に加工したフロントガラス、ブラックのアリゲーター・ストラップを備えます。
ムーンフェイズと4桁の西暦を表示する永久カレンダーと7日間パワーリザーブを備えるムーブメント、そしてパワーリザーブ表示。さらに、ポルトギーゼの特徴であるレイルウェイ目盛付きのチャプターリングが搭載されています。
IWC史上最高傑作
2000年、IWCは新しく開発したムーブメントを搭載する「ポルトギーゼ・オートマティック 2000」を発表しました。キャリバー5000は7日間パワーリザーブを備えていました。2003年には、キャリバー5000に特別な永久カレンダーモジュールを統合した初代「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」(Ref. IW5021)が登場します。従来の「ポルトギーゼ」の設計とは異なり、IWCのお家芸ともいえる永久カレンダーモジュールを採用したのです。曜日、日付、月を表示し、各月の日数を判別する永久カレンダーは、スイス高級時計製造の長い歴史の一端を担ってきましたが、IWCはさらに革新的かつ実用的な永久カレンダーを生み出しました。
1985年、IWCは独自の永久カレンダーモジュールを発表しました。このモジュールにはカレンダー表示が組み込まれており、リューズだけですべての機能をリセットできました。IWCの有名な時計師クルト・クラウスが手掛けたこの複雑機構は、「インヂュニア」モデルに初めて採用され、その数カ月後には「ダ・ヴィンチ」モデル(Ref. 3570)にも導入されました。クラウスは、曜日、日付、月、年、ムーンフェイズ機能のすべては連動しており、リューズによって同時に調整が可能になることを発見しました。技術的設計は極めて複雑ですが、その使用方法はシンプルなものでした。しかし、クラウスが設計した永久カレンダーモジュールをIWCの新しい自動巻きムーブメントに組み込む作業は、容易ではありませんでした。IWC自社製自動巻きムーブメントを搭載するには、全面的な再設計が必要でした。こうした努力の末、2003年に伝統と現代が見事に融合した「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」(Ref. IW5021)が誕生したのです。最新のムーブメントに加え、全く新しいムーンフェイズ表示が配されています。ダブルムーンフェイズ表示が、北半球と南半球の月の姿を描き出します。ダブルムーンフェイズ表示は世界初の技術であり、IWCが特許を取得しています。
2016年と2018年には、「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」の新モデル(Ref. IW5033)と(Ref. IW5034)がそれぞれ発表されました。2018年モデルは、ダブルムーンフェイズを採用しています。さらに、2016年に登場した新しいPPCモデル(Ref. IW3972)では、日付と月がデジタル表示されます。「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」は15年以上前に誕生して以来、これまでに31ものモデルが製作されました。長きにわたるデザインと機構の改良の末に、これほど多くのモデルが誕生したことこそが、このコレクションの成功と重要性の証となっています。
IWCの永久カレンダーは、オート・オルロジュリー(高級複雑時計製造)の数ある卓越したコンプリケーションの中で、最も実用性に優れている機構と言えます。しかし、「ポルトギーゼ・パーペチュアル・カレンダー」が傑作と言われる所以は、実用性でも技術的な適合性でもなく、その美しさにあります。それは、クラシックなデザインと革新的な技術の融合によってもたらされるのです。