A.ランゲ&ゾーネ、機能美が美しい「1815 アップ/ダウン 」
本日は、A.ランゲ&ゾーネの「1815 アップ/ダウン」のご紹介。
1879年5月18日、帝国特許庁よりA.ランゲ&ゾーネに特許第9349号が交付されました。
対象となった技術は「懐中時計のゼンマイが巻き上げられているか、あるいはほどけているか、またはゼンマイが完全にほどけるまで如何程の時間があるかを示す装置」です。
こうして正式に認定されたランゲ・パワーリザーブ表示AUF/ABの独自性が、1815アップ/ダウンの名に銘記されています。
1815 アップ/ダウンという名前は、ドイツ・ザクセンの時計産業の父であるアドルフ・ランゲ生誕年と、A.ランゲ&ゾーネの伝統的要素となっているパワーリザーブ表示AUF/ABにちなんでいます。
かつての懐中時計やマリンクロノメーターにも搭載されていたこの表示は、1879年にA.ランゲ&ゾーネが取得した特許に基づくものです。
この時計のダイヤルを特徴付けているのは、青焼きした針、アラビア数字およびレイルウェイ風の分目盛りといった伝統の要素です。
わずか数点のエレメントが、見まがうことのないスタイルを創り出すことはよくあります。
独特のデザインとならんでA.ランゲ&ゾーネの時計を特徴づけているのは、創意あふれる機構です。
それが殊の外よく表れているが、1815ファミリーのモデルです。
フェルディナント・アドルフ・ランゲの誕生年を名前に冠するこのファミリーの時計には、19世紀に遡る長い伝統と今日の時計技法が融合し、ひたすら純粋に完璧を追い求めた総合芸術へと昇華しています。
この1815 アップ/ダウンに搭載されたキャリバーL051.2では、ムーブメント上部に輪列を取り付け、ビス留め式ゴールドシャトンを2つ追加しました。
時計を知る人には、ダイヤルのA.ランゲ&ゾーネのロゴを見なくとも、すぐにそれと分かります。
同じように、サファイアクリスタルのシースルーバックからムーブメントを見れば、A.ランゲ&ゾーネの時計であることは一目瞭然です。4分の3プレートをはじめ、ハンドエングレービング入りテンプ受け、伝統が滲むチラネジテンプ、青焼きしたネジで留めたゴールドシャトンなどのディテールは、紛れもないランゲウォッチの証しです。巻上げ輪列のサンバースト仕上げ装飾は、往年の懐中時計のムーブメントを彷彿とさせます。
ブルースクリュー
二次組立てでは、仮留めに使用したネジに代えて、熱処理で美しい青色に染まったブルースクリューを取り付けます。この独特の青色は、約300度でゆっくりと加熱することによって得られます。スチールの表面を覆う極薄のマグネタイト(四酸化三鉄)層が、光波のオーバーラップによる干渉効果により自然光のブルー以外の色素を吸収するため、深いブルーに見えるのです。青い輝きを放つビスが、洋銀製の受けと地板に一際美しく映えています。
4分の3プレート
4分の3プレートは、A.ランゲ&ゾーネの伝統的要素を代表する部品です。1864年にフェルディナント・アドルフ・ランゲが採用して以来、ドイツ・ザクセンで製作される時計の特徴になりました。4分の3プレートは、輪列の軸受けの役割を果たします。いくつもの軸を同時に押さえなくてはならないため、その組立てには確実な手さばきが要求され、根気と集中力が欠かせません。通常使用される独立タイプの受けに比べて、この構造ではムーブメントの安定性が大幅に向上します。また、4分の3プレートによって歯車の軸間距離誤差が減少するほか、特に昔の懐中時計では外から侵入する汚れからムーブメントを守る効果もありました。
スワンネック形バネのついたハンドエングレービング入りテンプ受け
テンプ受けのエングレービングは職人のいわば筆跡に相当します。この小さな部品に職人がフリーハンドで花のモチーフを彫刻することにより、ランゲウォッチの1本1本が一点物になるのです。スワンネック形のバネと側面にある調整用ビスも、ムーブメントの特徴です。これは速度を微調整するための部品です。
チラネジテンプ
昔ながらのチラネジテンプが、A.ランゲ&ゾーネの多数のモデルの歩度を安定させています。これらのネジのうち4本は調整可能です。ネジを内側に回すとテンプの慣性モーメントが減少し、テンプの振動が速くなります。逆にネジを外側に回すと、テンプの振動がゆっくりになります。このようにして、時計をさまざまな姿勢で最適な歩度に調整します。それだけでなく、万が一、テンプに片重りが生じた際には、チラネジでそれを修正できます。
パワーリザーブ表示AUF/ABとブルースチール
伝統の要素はダイヤルにもあります。「AUF」(UP)で完全巻上げ状態を示し、「AB」(DOWN)で香箱のゼンマイが完全にほどけた状態を示すパワーリザーブ表示は、A.ランゲ&ゾーネの伝統です。ブルースチール針と、黒色のアラビア数字およびレイルウェイ風の明快な分目盛りの組み合わせは、最善の視認性を約束します。さらに、これらの要素は往年のランゲ製懐中時計の偉大な伝統を想起させます。
小型化を可能にする設計のおかげで、パワーリザーブ表示用の部品が36個追加され、3日間パワーリザーブを備えた大型の香箱が搭載されているにも関わらず、ムーブメントの高さわずか4.6mmという薄型です。
機能美にも通じるバランスの取れた、’’指針式’’パワーリザーブ表示の文字盤が素敵なモデルです。
ぜひ実物をご覧ください。
記:渡辺
A.LANGE&SÖHNE(A.ランゲ&ゾーネ)について
ドレスデン出身の時計師フェルディナント・アドルフ・ランゲは、1845年に時計工房を設立し、ザクセン高級時計産業の礎を築きました。彼が製作した価値の高い懐中時計の数々は、今でも世界中のコレクター達の垂涎の的となっています。第二次世界大戦後、東ドイツ政府によりA.ランゲ&ゾーネは国有化され、一時はその名が人々の記憶から消え去ってしまうかと思われました。しかし1990年、フェルディナント・アドルフ・ランゲの曾孫ウォルター・ランゲがブランドを復活させます。現在では、ゴールドまたはプラチナケースを使った腕時計が、毎年数千本のみ製作されています。A.ランゲ&ゾーネの時計には必ず、自主開発され、手作業で入念な装飾と組み立てを行なったムーブメントが搭載されています。1994年以降に開発された自社製キャリバーは62個を数え、A.ランゲ&ゾーネは世界でも最高峰の地位を確立しました。その代表作には、一般モデルとして初めてアウトサイズデイトを搭載しブランドを象徴するモデルとなったランゲ1や、瞬転数字式時刻表示を搭載したツァイトヴェルクがあります。稀に見る複雑機構を搭載するツァイトヴェルク・ミニッツリピーター、トゥールボグラフ・パーペチュアル”プール・ル・メリット”、トリプルスプリットは、受け継がれてきた時計作りの技をさらに高めようとするA.ランゲ&ゾーネの真摯な姿勢を体現した時計です。
モデル名:1815 アップ/ダウン
品番:LS2344AD 234.032
ケース素材:ピンクゴールド
ケース径:39mm
防水:3気圧
その他機能:時、分
ストップセコンド機能搭載スモールセコンド
パワーリザーブ表示AUF/AB
パワーリザーブ72時間
価格:3,289,000円(税込)
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腕時計は“時を知る”ための実用品ですが、オーナーのライフスタイルや趣味嗜好を雄弁に物語る装飾品でもあり、人生を共にする大切なパートナーとなります。「入学」や「就職」、「結納返し」や「還暦祝い」といった転機に本格時計を購入される方が多いのは、それからの人生を共に刻む記念として、深い思いを込めているからです。ぜひ、購入後も安心の正規品をお選びください。
皆様のご来店、心よりお待ちしております。