こんにちは、伊藤です。
2023年 H.モーザーの新作モデル第一弾が昨日(2023年2月22日)に発表されました。
さっそく見ていきましょう。

H.モーザーのパーペチュアルカレンダーは、市場で最も視認性に優れ、いつでも日時の早送りや巻き戻しを行うことができ、時刻合わせをスムーズに行えるモデルとして広く知られています。
そして、2023年このムーブメントを搭載したのは「タンタル」で作られたケース。
ブランドとしては初めての素材になります。

タンタルは1802年にスウェーデン人のアンデシュ・グスタフ・エーケベリによって発見された非常に密度が高くて硬質な金属です。
空気に触れると表面に母材を科学的攻撃から保護する非常に緻密な空気の層が形成されます。
耐腐食性に優れ、ほとんどの化学物質に反応せず、酸に対しても耐性があります。
また、展性や延性に長けており、高精度の加工を実現できます。
ただ、融点が約3000℃と高いため、加工には治金に関する高度な専門技術が必要になります。
変色しにくく、青みがかかった反射が濃いダークグレーを引き立てるタンタルは非常に安定した金属で、美しさと耐久性を兼ね備えています。

この金属を選択したのは、H.モーザーのCEO エドゥアルド・メイラン氏の個人的な思い入れも反映されています。
「私は18歳のときに両親から初めて高級時計を贈られたのですが、それがタンタル製でした。以来、いろいろと課題のある素材であるものの、H.モーザーの時計に取り入れたいという思いをずっと抱き続けてきました。タンタル製ケースにポリッシュ仕上げを施すようになるまで、実に2年以上試行錯誤を重ねました。タンタルの加工はサンドブラスト、つまりサテン仕上げがほとんどなので、ポリッシュ仕上げを実現できたのは特筆に値すべきことだと思います。」と語っています。

文字盤は、「グラン・フー」エナメル・ダイアルの美しさを余すことなく見せることで、H.モーザーのミニマリストスタイルをいっそう際立たせています。
ゴールドのベースに打痕模様を打ち出す作業から始まり、色の異なる4つの顔料を湿らせて細かく砕いてから塗布して濃淡を生み出しています。
一つひとつの顔料を慎重に加え、炉で熱して酸化させ、むらなく塗融させるまでの工程は、熟練のエナメル加工職人であっても細心の注意と途方もない忍耐を要します。
透明感のある「グラン・フー」(高温焼成)エナメルに仕上げるまでに計12回もの焼き入れを行い、ようやくH.モーザーを象徴するフュメダイアルが完成します。
こうして生まれるダイアルにはひとつとして同じものはありません。

ブランド：H.モーザー
モデル：エンデバー・パーペチュアルカレンダー タンタル ブルーエナメル
品番：1800-2000
ケース：タンタル(裏蓋ステンレススチール)
直径：42㎜
厚さ：13.1㎜
ダイアル：槌目仕上げのアビスブルーフュメ(グラン・フーエナメル)
ムーブメント：HMC800(ダブルヘアスプリング)
予価：11,825,000円(税込)