手巻きと自動巻きの時計‥どちらを選ぶ?
人類最初の時計は?
人類は太陽の動きと影の動きを追うことで時を計る日時計から時を知るようになり、その後、水時計や砂時計、ランプ式時計など様々な時計が考案されるようになります。
世界で最初の機械式時計は1270年〜1300年頃といわれており、礼拝堂などに設置された塔時計がルネサンス期のヨーロッパの人々に時間を知らせるようになっていきます。
携帯可能な懐中時計の誕生
ペーター・ヘンラインの発明により、時計の動力源は錘→ゼンマイになり、時計は次第に小型化、1600年頃には人が携帯できるサイズの時計となっていきます。
ガリレオ・ガリレイが発見した『振り子の等時性』をもとに、クリスチャン・ホイヘンスが振り子時計を作り、1675年にはテンプとひげゼンマイを組み合わせた調速機という機構を発明します。
それにより時計は高精度化と更なる小型化により懐中時計が現実のものとなっていきます。
手巻きと自動巻き
機械式時計はリューズでゼンマイを巻き上げる手巻きの時計と、腕の振りによりゼンマイが巻き上げられていく自動巻きの時計、2種類に大別されます。
1770年にローターが回転し自動的に時計のゼンマイを巻き上げる自動巻き機構は発明されていましたが、ポケットに収める懐中時計とは相性が悪く、手巻きの懐中時計が機械式時計の主流として長く続きます。
懐中時計から腕時計へ
1800年代後半に懐中時計を腕に巻いた兵士が、砲撃のタイミングを計測するようになり、戦争がキッカケで時計は懐中時計から腕時計へと進化していきます。
飛行家サントス・デュモンとルイ・カルティエの友情から生まれた世界初の男性用腕時計は1904年に誕生しております。
機械式時計の主流は自動巻きへ
王族や貴族のための芸術品から、鉄道網や航空業界の発達、戦争とともに進化する機械式時計‥20世紀には長く主流であった手巻きから自動巻きの時代となり、進化・普及していきます。
自動巻きの腕時計がスイス・フォルティスから商品化され、その後、1931年にはロレックスの3大発明であるパーペチュアル ムーブメントが開発されます。
半月型のローターを使用し、手首の僅かな動きで回転し高効率で巻き上げられる機構は、自動巻きの時計の原点となります。
自動巻きと手巻き、どっちを選ぶ?
現在の機械式時計の多くは自動巻きであり、腕の振りにより扇型のローターが回転し、ゼンマイが自動的に巻き上がっていく機構は、利便性と安定した精度が魅力です。
手巻き式の時計も生産しているブランドは多く、ご自身でゼンマイを巻き上げて初めて動き出す手巻き式の時計は、今なおコレクターからは根強い支持を得ています。
そして近年の機械式時計はケースバックがシースルー化されているモデルが多く、手巻き式の場合はローターがないため、美しいムーブメント全体が見渡せる点も魅力的です。
クラシカルなデザインと昔ながらの手巻き式の機構は、とても相性が良いと思います。
落ち着いたデザインの時計を検討される際は、手巻き式の時計もいかがでしょうか?