大人気カルティエのサントスシリーズ!その魅力とは?
一昔前であれば男性のお客様へカルティエをご案内すると、『時計ブランドじゃないしなぁ』『女性向けの時計でしょ』などネガティブな反応が返ってくることが時々ありました。
出自がジェエラーであることや、時計ブランドへ製造を委託していた頃もあったことが影響していたのかもしれません。
しかし近年のカルティエのメンズウォッチのクオリティは非常に高く、時計ブランドを凌駕するほどの時計を世に送り出しております。
初の男性用腕時計?
創業者の孫であるルイ・カルティエが経営に携わって以降、時計製造に注力しているカルティエ。
1800年代後半に女性用のジュエリーウォッチの製造をスタート、『腕時計がいつ誕生したのか?』には諸説ありますが、懐中時計にベルトを通し改変させたものではなく、ケースとラグが一体化した世界初の男性用腕時計は1904年にカルティエが生み出した【サントス】といわれております。
当時腕に時計を装着するのは主に女性で、ジュエリーとして扱われておりましたが、サントス以降、実用品としての腕時計が急速に普及していきます。
またこちらも現在となっては当たり前のものとなっているデプロワイヤント バックルは、ピンバックルと比較すると脱着しやすくベルトの劣化もしにくいので大変人気があります。
時計専業ブランドではなく、こちらもカルティエが世界初で1909年に特許を取得、成形に高い加工精度が求められるプラチナを初めてジュエリーに採用した世界屈指のジュエラーならではの技術力により生み出されました。
メンズウォッチの原点【サントス デュモン】
サントスという名はルイ・カルティエの友人の【アルベルト・サントス=デュモン】に由来。
ブラジル出身の貴族であり発明家、また飛行家でもあるサントス=デュモンは、飛行中に懐中時計を取り出して時刻の確認は危険を伴うため、操縦桿から手を離さずに時間の確認が可能な時計をルイ・カルティエに依頼しました。
きちんとしたラグを備えケースにベルトを固定することができる初めての時計は、後にジャガー・ルクルトとしてタッグを組む時計師エドモンド・ジャガーとルクルト社の協力から誕生、1911年にはサントス=デュモンの同意を得て市販化、100年以上が経過した現在もカルティエのメンズウォッチを牽引する人気シリーズです。
現在サントスという名が付いたモデルは【サントス デュモン】と後述する【サントス ドゥ カルティエ】になり、初期のデザインが踏襲されたモデルが依頼主と同名の【サントス デュモン】になります。
伝統的に手巻きが採用され、ベースは薄型の時計を得意とするピアジェ製、そこにカルティエのアレンジが加えられたムーブメントが搭載されます。
またカルティエが所属するリシュモングループのムーブメントメーカーであるヴァルフルリエと共同開発した電池寿命6年の高性能クオーツムーブメントを搭載したモデルが2019年の刷新により追加され、選択肢が増えたことは喜ばしいことではないでしょうか。
自動巻きのサントス ドゥ カルティエと比較すると、ベゼルやラグがスリムで厚みも7mm台と薄く、ローマインデックスと針もシャープ、アルベルト・サントス・デュモンが愛したスーツスタイルに映える時計に仕上げられており、クラシカルでドレッシーな時計がお好みのお客様にはぜひお勧めしたい1本です。
メンズウォッチ人気を牽引する【サントス ドゥ カルティエ】
【サントス ドゥ カルティエ】は現代風のリファインが施されたモダンなサントスといえるのではないでしょうか。
2018年登場後すぐに人気モデルとなったサントス、ケースやブレスレットのビスが特徴的で、飛行機のボディのパーツを繋ぐネジからインスピレーションされ、上品さに加えて適度なスポーティテイストが与えられています。
ケースの厚みが10mm以下に抑えられたサントスは、薄型にするため裏蓋はネジで閉められているにも関わらず100m防水、自動巻き、更に耐磁性能など万能的な時計に仕上がっております。
またスマートリンクとクイックスイッチという便利機能まで備わり、バリエーションも豊富なサントスドゥ カルティエはカルティエのウォッチメイキングの本気度が伝わってくるシリーズではないでしょうか。
スマートリンクサイズ調整機能付きのブレスレットは、容易にブレスレットの長さ調節が可能、夫婦間でシェアウォッチとしてご愛用いただくのも良いのではないでしょうか。
クイックスイッチはベルト交換システムであり、ワンプッシュでベルトを外し容易に別のベルトに変更することが可能、嬉しいことにベルトとバックルが付属でついてきます。
ガタが出やすいため高い加工精度が求められますが、2002年に登場したロードスターの頃からカルティエはこの機構を導入しており、またケースとブレスレットを内製しているカルティエだからこその技術といえるでしょう。
カルティエのムーブメントとメンテナンス
2010年に初の自社製キャリバー1904MCを発表し、マニュファクチュール化を進めてきたカルティエ。
1904MCはカルティエが初めての男性用腕時計を製造した年から名付けられ、フランス語でキャリバーを意味するカリブル ドゥ カルティエに初めて搭載されました。
時計ブランドへ製造を委託していたことやムーブメントメーカーの機械をベースに採用していたのは、もはや昔の話。
サントスやパシャに搭載される1847MCを軸とし、男性用腕時計も好調なセールスを記録、スイスで時計製造を行っているブランドではロレックスに次いで2番目の売上高を誇ります。
カルティエの自社キャリバーは歯車ではなく爪で巻き上げる方式であり、マジッククリックと呼ばれる自動巻き機構は高効率の巻き上げと耐久性が自慢、耐磁性に優れた素材も採用しており、非常に実用的といえるのではないでしょうか。
精度や巻き上げが悪化してきた際は、オーバーホールも承っておりますので、ぜひお申し付けくださいませ。
機械式2針・3針モデル→¥69,300(税込) / 機械式クロノグラフ→¥88,000(税込)
2023年12月現在のオーバーホール基本料金となり、金額変わらずポリッシングも可能です。(モデル、コンディションによりポリッシング不可の場合もございます。)
また元々より外装には定評が高く、ケースとブレスレットを内製できる数少ないブランドの1つでもあります。
ラウンドやスクエア、トノー、レクタンギュラーなど様々なシェイプのケースを製造しており、ブレスレットのバリエーションも世界トップクラス、ガラスやカルティエの特徴の1つでもある鮮やかなブルースチールの針なども内製しているのでパーツの製造が長く続けられるのも魅力といえるでしょう。
カルティエのウォッチメイキングの特徴は、ベースデザインは踏襲し、内外装の細部の質を向上させていくところにあります。
画像は現行品ではなく、すでに生産終了したサントス ガルベであり、このようにデザインの大幅な変更がないため、昔購入した時計であっても古びれることはなく価値が落ちにくいところもカルティエの魅力、定期的なメンテナンスを行うことによりカルティエは末長くパートナーとして活躍してくれること間違いなしのブランドです。