ジラール・ペルゴは、1975 年に登場したブランドのアイコンウォッチの49 周年を祝ってロレアート クロノグラフ Ti49 を発表しました。ロレアート クロノグラフ Ti49 は、オリジナルの複雑な形状のケースに、優れた素材として評価の高いグレード 5 チタンを組み合わせたモデルです。クラシックなロレアートにこの強靭な合金が用いられるのは今回が初めてです。チタンは、強靭さに加えて軽量で耐食性に優れ、低アレルギー性が特長の素材です。
発見、発明、学びへの根源的欲求に突き動かされた 2 人の非凡な男性
幼くして孤児となったジャン=フランソワ・ボット(1772-1837)は早くから見習いとして働き、時計製造に関する膨大な知識のみならず、ケースの組み立てからギョーシェ仕上げ、金細工といった時計に関する技術まで身に付けました。1791 年には、わずか 19 歳でジュネーブのスイス時計製造の発祥の地で初めて手掛けたウォッチに名前を刻みました。この出来事は、後にラ・ショー・ド・フォンを拠点とするメゾンとして名高いジラール・ペルゴの種を蒔くこととなります。
ボットが初めて製造したウォッチに自身の名前を刻んだ同じ年、英国のコーンウェルでは英国人の聖職者 ウィリアム・グレガー(1761-1817)がチタンを発見しました。ウィリアムは鉱物に夢中になり、マナカン谷で砂の堆積物の研究に多くの時間を費やしていました。彼は鉱物を熱して生成される酸化カルシウムを分離することができましたが、この工程では未知の金属が残りました。グレガーは後に元素として認められるこの金属を「manaccanite(マナカナイト)」と命名しました。「チタ
ン」という名前は、ギリシャ神話に出てくる巨人族ティタンからインスピレーションを得たものです。マナカン谷はジュネーブからは 1400 km も離れていますが、ボットもグレガーも発見、発明、学びへの根源的欲求に突き動かされた人物でした。
グレード 5 チタン – 概要
指を広げて元素周期表を左から右にじっくり見てゆくと、第 4 周期にチタン(Ti)という元素が見つかります。チタンを純粋な形で分離するにはさまざまな方法があります。1910 年にハンター法が発明され、その後 1930 年代には現在も使用されているクロール法が考案されました。
長い間、大勢の科学者によって多くのグレードのチタンが製錬され、純粋なチタンとほかの素材を組み合わせた合金も生まれ、さまざまなメリットが引き出されました。チタン合金 6-4 はグレード 5チタンとして良く知られる、1951 年にスタン・アブコヴィッツ教授が発明した合金です。それ以来、化学、医療、海洋、兵器、航空といったさまざまな産業分野に加え、高級時計の製造にも使用されてきました。
グレード 5 チタンは、チタン約 90%、アルミニウム 6%、バナジウム 4%、ごく微量の鉄と酸素で構成されます。軽量で強靭、硬く、耐食性に優れ、非磁性で低アレルギー性、このすべての特長が時計製造に適しています。グレード 5 のチタンは、ジラール・ペルゴが最新モデルロレアート クロノグラフ Ti49 で引き出した“研磨することで輝きを増す”というさらなる特長を持っています。
グレード 5 チタン – 部品の製造
安価なタイプのチタンとグレード 5 チタンを同列に扱うことはできず、後者は加工が非常に困難で
あると同時に費用もかかります。ただし、高級時計の製造と同じで、長期にわたる苦労もお客様にと
ってのメリットとして生まれ変わります。この合金を、金やプラチナといった貴金属と同じように扱
うウォッチブランドが増えている理由はそこにあります。逆説的ですが、チタン製のケースとブレス
レットは暖かみがあると同時に、非常にクールな魅力があります。
名前に込められたもの
1975 年に発売された「ロレアート」は当初「クォーツ クロノメーター」と呼ばれていました。しかし、当時のジラール・ペルゴにとって最も重要な市場であったイタリアでは、時計通の間でたちまち「ジラール・ペルゴ時計学校で資格を有するもの(ロレアートはイタリア語で資格を有するもの )」として知られるようになりました。愛情のこもったこの呼び名は、このモデルが賞を獲得するほどに成功をおさめたことや、並外れた精度に対する高い評価を示すものでもありました。最終的には、ジラール・ペルゴもこの名前を採用することになりました。これは偶然の一致ですが、ケースの上に乗った八角形ベゼルは、まるで受賞者の頭にのせる月桂冠のようです。重大な節目がすぐそこまで迫っていることから、ジラール・ペルゴは、ブランドを象徴するこのモデルの 49 周年を祝ってロレアート クロノグラフ Ti49 を発売しました。
ロレアート – 決して速攻の産物でなく
ロレアート クロノグラフ Ti49 は 42 mm ケースに収められ、1975 年の初代モデルで初めて採用されたアイコニックなデザイン言語を踏襲しています。トノー型ケースの上に台座が乗り、さらにその上に八角形のベゼルが乗っています。多面的で角が多いため、ケースの複雑な輪郭に光が自在に纏わりつくように反射して光と影を生み出します。ロレアートのベゼル、ケース、ブレスレットの製造は歴史的にも明らかに複雑でしたが、最新世代のクロノグラフに初めてグレード 5 チタンを使用し
たことから、さらに複雑度が高まりました。
素材として評価の高いこの合金は暖かみのある色合いです。グレード 5 チタンを採用することで、ジラール・ペルゴはさらに、ロレアート クロノグラフ Ti49 に洗練され、コントラストの効いた仕上げを施すこともできました。サテン仕上げに美しいポリッシュ仕上げを組み合わせています。丸い台座、美しく整えられたケースのエッジ、クロノグラフ プッシュボタン、ブレスレットのセンターリンクはすべて魅力的な輝きを放っています。
ジラール・ペルゴは、モノクロームの配色でチタンのグレーカラーにアクセントをつけようと試みました。間違いなくブランドの熱烈なファンを引き付けるクル・ド・パリ模様が、文字盤のグレーを引き立てます。グレーの PVD 加工を施したバトン型の時針と分針は、同じくバトン型のインデックスと組み合わさり、針とインデックスにはいずれもホワイトの蓄光塗料を塗布し、暗がりでも白く輝きます。
渦形仕上げの 3 つのカウンター:30 分積算計、12 時間積算計、スモールセコンドが文字盤をさらに際立たせ、4 時位置と 5 時位置の間に配置された日付表示は数々の機能をまとめ上げます。GP ロゴ、モデル名、ミニッツトラックに加え、カウンターを取り囲むマーキングはすべてホワイトで、グレーの文字盤と美しいコントラストを成しているだけでなく、視認性の向上にも貢献しています。
ロレアート クロノグラフ Ti49 の軽量ケースには、自社製キャリバー GP03300 が収められています。419 個の部品で構成されるこの自動巻きムーブメントには美しい仕上げが施され、円形とストレート グレインの「コート・ド・ジュネーブ」、ペルラージュ、サテン仕上げ、面取り、鏡面仕上げ、渦巻き模様、エングレービング、サンレイ仕上げ、ブルーのスティール製ネジといったさまざまな装飾も施されています。すべての仕上げは、優れた技術を持つ自社の熟練職人や時計職人のチームが担当します。
ジャン=フランソワ・ボットがウィリアム・グレガーの発見を知っていたかどうかは誰にもわかりません。しかし、1791 年が注目に値する年であったことは間違いありません。2 人の男性が、モダンで豊かな伝統と、多くの魅力を備えたこのウォッチの誕生につながる偉業を成し遂げた年なのですから。
>>製品紹介
GIRARD-PERREGAUX(ジラール・ペルゴ)
ロレアート クロノグラフ Ti49
品番 81020-21-3263-1CM
ムーブメント 自動巻きクロノグラフ(自社製キャリバー GP03300-0141)
ケース素材 チタン、ポリッシュ/サテン仕上げ
ベルト 904L ステンレススティール
防水 100m防水
サイズ 42mm
厚さ 12mm
その他特徴 パワーリザーブ46時間、ケースバック:6 本のネジで固定、文字盤:「クル・ド・パリ」模様のグレー、グレー PVD 加工の GPロゴ、蓄光塗料(ホワイト)を塗布したグレー PVD 加工の「バトン」型インデックス、針:グレーの PVD 加工を施し蓄光塗料(ホワイト)を塗布した「バトン」型
価格 ¥2,728,000 (税込)
ジラール・ペルゴについて
ジラール・ペルゴは、1791 年以降、常に捉えどころのない時のリズムを刻んできました。ラ・ショー・ド・フォンの中心に位置するジュラ山脈に抱かれた高級時計のパイオニアであり、すべての製造を自社内で行っています。類稀な時計製造の技術を何世代にもわたり 2 世紀以上守り続けてその地位を堅持してきた独立したマニュファクチュールです。美と芸術への情熱に加えて、このサヴォアフェールを守り続けてきたことがジラール・ペルゴの変わらぬ革新力のカギとなってきました。美しさと機能性の完璧なバランスを追求する高級時計愛好家であればすぐに、ロレアートのブランドを象徴する八角形のベゼルや「スリー・ゴールドブリッジ」を備えた伝説のトゥールビヨンといった特徴に目が行くことでしょう。時計業界の基準作りから高度な精密工学によって目に見えないものを見えるようにする技術まで、ジラール・ペルゴは、数々の業界初となるモデルを生み出すことで絶えず時間の流れを変えてきました。時計に関する革新のパイオニアというこの地位は、1884 年に登録された「スリー・ゴールドブリッジ」のムーブメントのようなオリジナルのデザインに関する 100 件以上の特許、そして 2013 年の「エギーユ・ドール」賞や 1889年のパリ万国博覧会で授与された金賞といった実績によって盤石なものとなっています。
ジラール・ペルゴは、その伝統に根差し、常に先を見据えてきました。新しい技術を受け入れ最先端の素材を活用し、アイコニックなシェイプを再構築することで喜びをもたらすような独創的な方法を見出す情熱に突き動かされています。2022 年には姉妹メゾンのユリス・ナルダンと共に独立したマニュファクチュ―ルのグループ企業となりました。